252 おさかなくわえた名無しさん sage 2025/03/17(月) 14:26:37.68 ID:hUSheFXm.net
「生きなければ・・・なんとしても生きて帰るのよ」
波間に揺れる救命ボートの上で一人の若い女性が憑かれたような表情で肉にくらいつきながらつぶやいていた
彼女達の乗っていた豪華客船は港を出港した後氷山に衝突し気がつくと彼女はボートに一人乗っていたのだった
いや、正確には一人ではなかった
怖ろしい事にそのボートには炎に焼かれた死体が何体も乗っていたのである
ボートには少量の水はあったが食料はなかった
空腹に耐えかねたローズはついに禁断の所業に及んでしまったのである
そして一人食べれば同じこと・・・
彼女は何人も何人も食べてしまいボートの片隅には人骨の山が出来たのであった
倫理とかタブー。そんなものはこの極限状態でなんの意味もなかった
ローズはとうにそれを超越してしまいただ強く頭の中で繰り返していたこと
「生きる」・・・ただ、それだけであった
その時眩しいほどのライトの光がボートを照らした
この海域を生き残りがいないか必死で探していた救助船だった
船の乗組員はぼんやりとした光の中、うずたかくつまれた人骨と彼女が喰らいついていた肉を見た
そして全てを察したのである
「生きるために仕方なかったのよ」彼女は叫んだ
「しかし」青ざめた乗組員は言った
「船が沈没したのは昨日ですぜ」
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「生きなければ・・・なんとしても生きて帰るのよ」
波間に揺れる救命ボートの上で一人の若い女性が憑かれたような表情で肉にくらいつきながらつぶやいていた
彼女達の乗っていた豪華客船は港を出港した後氷山に衝突し気がつくと彼女はボートに一人乗っていたのだった
いや、正確には一人ではなかった
怖ろしい事にそのボートには炎に焼かれた死体が何体も乗っていたのである
ボートには少量の水はあったが食料はなかった
空腹に耐えかねたローズはついに禁断の所業に及んでしまったのである
そして一人食べれば同じこと・・・
彼女は何人も何人も食べてしまいボートの片隅には人骨の山が出来たのであった
倫理とかタブー。そんなものはこの極限状態でなんの意味もなかった
ローズはとうにそれを超越してしまいただ強く頭の中で繰り返していたこと
「生きる」・・・ただ、それだけであった
その時眩しいほどのライトの光がボートを照らした
この海域を生き残りがいないか必死で探していた救助船だった
船の乗組員はぼんやりとした光の中、うずたかくつまれた人骨と彼女が喰らいついていた肉を見た
そして全てを察したのである
「生きるために仕方なかったのよ」彼女は叫んだ
「しかし」青ざめた乗組員は言った
「船が沈没したのは昨日ですぜ」