356 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2011/09/23(金) 04:24:45.78 ID:ZbM7XpvS [1/3]
うちの猫3匹を度々病院送りにしてきた野良がいる
アタマ来て一時は捕まえて遠くの河川敷に捨てて来ようと捕獲器仕掛けてたが捕まらない
結局捕まえるの諦めて、うちの庭のビオに水飲みに来たりウッドデッキで寝てるのを追っ払うしかなかった
そうする内に、憎憎しいとはいえ、何十篇追い払われても懲りずにやって来る奴を大した野郎だと一寸認める気持ちも涌く
頼る者の無い野良のお前も大変だよな、メシ確保するのも一苦労だよな
そして自然と、うちの猫の食べ残しを集めて外に置いてやるようになった
奴の方も夕方、俺が皿を置く定位置で香箱作って待っているようになる
皿を置きに近づくと逃げて威嚇し、俺が少し離れて背中を見せるとダッと駆け寄りがっつく
日々繰り返す内に逃げる距離は縮まり、手を伸ばせば触れられる距離で皿が置かれるのを見つめる奴
しかし触らせる事は決して無い
常に俺の正面に構え、がっつきながらも様子を窺い、撫でようとすれば身を引き威嚇する
以前追い回したとはいえ、もう3ヶ月はお前にメシ食わせてやってるぞ
肉付きも毛艶も前より良くなってるじゃねえか
野良のプライドも良いが頑固すぎやしないか
それからしばらくして奴がうちに来る回数が減って来て、やがて現れなくなった
他に餌場見つけて縄張りを移したのか、まあうちの猫どもも安心だな
357 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2011/09/23(金) 04:25:53.90 ID:ZbM7XpvS [2/3]
その奴が先日の夕方現れた
肉が落ち、背骨や腰骨は浮き出て、しかし腹は大きく膨れている
内臓やられたな
何匹も見送って来たから判る
こういう状態になった猫はもう長くない
無理矢理捕まえて連れて行こうにも今日明日は病院は休みでどうにもならない
前と同じようにメシをやると、奴はほんの少し口にし、静かに傍を離れた
億劫そうに庭の草むらに横たわった姿はただただ弱々しく、いつかのふてぶてしさは微塵も無い
その後様子を見に行くと奴が居ない
あれで遠くへは行けないし、行かないはずだ
奴は家の裏にある物置の下ですぐ見つかった
最期は隠れるという例のあれだ
358 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2011/09/23(金) 04:26:56.43 ID:ZbM7XpvS [3/3]
朝、奴はもう息絶えていた
死臭を嗅ぎ付けて、もう蝿が飛び交っている
物置の下から引っ張り出した奴は腹ばいで脚を体の両側に伸ばし、口を開き、目を見開き、糞を漏らしていた
きっと、最期の瞬間まで呼吸をしようと頑張ったのだろう
カチコチになった筋肉を伸ばし、体を整えてやりながら思った
お前なんで最期はうちに来ようと思ったの?
最期に礼くらいしとこうとでも思ったわけ?
触らせようともしなかった癖になあお前
冷たい体撫でても嬉しくないよお前
意地張らないで要領良く愛想振り撒いてりゃもっと違う結末もあったよ
後の事も済んで少し落ち着いたので鎮魂も込めて書き留めた
うちの猫3匹を度々病院送りにしてきた野良がいる
アタマ来て一時は捕まえて遠くの河川敷に捨てて来ようと捕獲器仕掛けてたが捕まらない
結局捕まえるの諦めて、うちの庭のビオに水飲みに来たりウッドデッキで寝てるのを追っ払うしかなかった
そうする内に、憎憎しいとはいえ、何十篇追い払われても懲りずにやって来る奴を大した野郎だと一寸認める気持ちも涌く
頼る者の無い野良のお前も大変だよな、メシ確保するのも一苦労だよな
そして自然と、うちの猫の食べ残しを集めて外に置いてやるようになった
奴の方も夕方、俺が皿を置く定位置で香箱作って待っているようになる
皿を置きに近づくと逃げて威嚇し、俺が少し離れて背中を見せるとダッと駆け寄りがっつく
日々繰り返す内に逃げる距離は縮まり、手を伸ばせば触れられる距離で皿が置かれるのを見つめる奴
しかし触らせる事は決して無い
常に俺の正面に構え、がっつきながらも様子を窺い、撫でようとすれば身を引き威嚇する
以前追い回したとはいえ、もう3ヶ月はお前にメシ食わせてやってるぞ
肉付きも毛艶も前より良くなってるじゃねえか
野良のプライドも良いが頑固すぎやしないか
それからしばらくして奴がうちに来る回数が減って来て、やがて現れなくなった
他に餌場見つけて縄張りを移したのか、まあうちの猫どもも安心だな
そう考えて若干の寂しさを納得させた
357 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2011/09/23(金) 04:25:53.90 ID:ZbM7XpvS [2/3]
その奴が先日の夕方現れた
肉が落ち、背骨や腰骨は浮き出て、しかし腹は大きく膨れている
内臓やられたな
何匹も見送って来たから判る
こういう状態になった猫はもう長くない
無理矢理捕まえて連れて行こうにも今日明日は病院は休みでどうにもならない
前と同じようにメシをやると、奴はほんの少し口にし、静かに傍を離れた
億劫そうに庭の草むらに横たわった姿はただただ弱々しく、いつかのふてぶてしさは微塵も無い
その後様子を見に行くと奴が居ない
あれで遠くへは行けないし、行かないはずだ
奴は家の裏にある物置の下ですぐ見つかった
最期は隠れるという例のあれだ
今夜がその時なのだと、理解した
358 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2011/09/23(金) 04:26:56.43 ID:ZbM7XpvS [3/3]
朝、奴はもう息絶えていた
死臭を嗅ぎ付けて、もう蝿が飛び交っている
物置の下から引っ張り出した奴は腹ばいで脚を体の両側に伸ばし、口を開き、目を見開き、糞を漏らしていた
きっと、最期の瞬間まで呼吸をしようと頑張ったのだろう
カチコチになった筋肉を伸ばし、体を整えてやりながら思った
お前なんで最期はうちに来ようと思ったの?
最期に礼くらいしとこうとでも思ったわけ?
触らせようともしなかった癖になあお前
冷たい体撫でても嬉しくないよお前
意地張らないで要領良く愛想振り撒いてりゃもっと違う結末もあったよ
後の事も済んで少し落ち着いたので鎮魂も込めて書き留めた