655 名前:1/2[] 投稿日:2007/02/11(日) 15:20:46 ID:YKJ2Piaz
最近の話ではないけれど・・・
親父が泣いたのを初めて見た時の話。

親父とお袋は、共通の友人(以下Aさん)を通じて知り合ったのだそうだ。
お互い住んでいる場所が離れていて中々会えなかったらしいが、
(当時、二人は東京でAさんは岩手)
親父とお袋の結婚式の司会を頼んだほど仲が良い、所謂親友だった。

そんなAさんは、結婚式の数年後、突然病で亡くなった。
その時、妹は生まれたばかりで俺も2才。
親父の仕事も忙しく、社風柄、身内ならばともかく、
友人の、それも遠く離れた所の葬式へはとても行けなかった。

そして約20年の月日が流れ、親父も定年を迎えた。

俺の学生時代最後の夏休みに、
「岩手に行こう!」と親父が突然言った。
その理由は、親父は言わなかったが、お袋がこっそり教えてくれた。
葬式にも出れなかったこと、今まで一度もお参りをしていないこと、
Aさんが亡くなってから、ずっと心残りだったそうだ。
そして承諾。


656 名前:2/2[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 15:21:36 ID:YKJ2Piaz
Aさんの生家で出迎えてくれたのは、Aさんのお兄さん夫婦。
こんなに年月が経ってもAさんを尋ねてきてくれる人がいたと、
Aさんのお兄さんも幾分涙ぐんでいた。

そして仏壇まで案内され、親父が仏壇前に座った。
「やっと、会えたな・・・A・・・」
それだけ呟くと、親父が声を殺して泣き始めたのがわかった。
あれだけ教育に厳しかった、あれだけ厳格な、あれだけ力強い親父が、
泣いていた・・・。


そんな俺と妹も今では社会人。
妹は数年前に結婚し、俺も半年後には結婚するだろう。
立派に育ててくれた両親に、あとどれくらいの親孝行ができるのかと、
最近よく考える。
長生きしてほしい。