278 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:04/12/11 22:51:40 ID:ilKvbAMh
憧れの旅館があった。
国の重要文化財にもなっていて、昭和天皇が皇后と食事をとったこともある。

その旅館は突然廃業した。その一年後くらいにその旅館が荒らされていると
いうニュースがテレビで流れた。
その旅館の支配人だったという、初老の柔和で上品な物腰をした男性が
きちんとしたスーツ姿で、寂しそうに荒れた建物の中を見回したり、
いとおしそうに階段の手すりを撫でたりしていた。
「今からならまだ持ち直します、きっと再生します。またお客様を
迎える時がくると信じています」
その支配人は言った。
私もその旅館がそのまま朽ちていくとは思わなかった。
いつか再オープンのニュースが流れるのだと信じていた。
貧乏だけど、絶対に泊まりに行こうと思った。
そして、その支配人はフロントで穏やかに微笑んでいるだろうと思った。

ふと、最近になってその旅館の再オープンの話がないことに気付き
ネットで検索してみた。
廃墟のサイトが並んだ。その中のひとつのサイトを見てみると
誰が見ても、もう再生不可能なまでに荒らされて放置されている旅館の姿があった。
その荒れ果てた写真をみているうちに泣けてきた。