769 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 19:09:25 ID:bMkQIuv0
何年か前の事。
会社から駅へと向かう途中、近道をしようと空地を横切った。
その時、手にしていた携帯からストラップが落ちたような気がして
確認すると、やはりストラップは付いていなかった。
空地には低く草が生い茂っていたし、日も暮れかけていた。
携帯のライトで足元を照らしながら探したが、見つかる気配ナシ。
「こりゃ別の場所で落としたんだな」と諦めようとした時だった。

「あ、なんかやってるよwww」という声がして顔を上げると、
あからさまにDQN風な兄さんが二人。
「ねぇねぇ、何してんの?」と話し掛けられた。
「ストラップ落としちゃって・・・」と答えると
「ストラップwストラップ落としたんだってさwww」
と、いかにもバカにした口調で言われた。

ああ、こりゃ2ちゃんでよく見る「DQNに絡まれる」って状態ですか?
ナメられたらいけないと思いながら、私はとっさに
「はい。母の形見のストラップなんです」とピンピンしている母を瞬殺。
「でも見つからないし、諦めます」と、足早にその場を立ち去った。


770 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 19:09:57 ID:bMkQIuv0
次日、まだ明るいうちにその空地へ行く事ができたので、もう一度探してみた。
見つからない。やっぱりここで落としたわけじゃないんだな、と思っていると
犬の散歩中のおじさんに声をかけられた。
「ねーちゃん、ストラップ落としたんか?」
「え、なんでわかったんですか!?」

前の日の晩、おじさんがこの空地の前を通りかかると
車のライトをつけたまま、何やら地面に這いつくばる男が二人いた。
不審に思い、何をしているのかと尋ねると
ここでストラップを落とした女の子がいるんで探している、と答えたのだという。

「大事なものだからって結構しつこく探しててさ。
見つからなかったみたいだけどな」

すみませんでした。そして有難う、兄さん達。
私はなんてつまらない嘘をついてしまったのだろう。
あなた方はもう忘れてしまったかもしれないが、
私はあれ以来、携帯にストラップを付けていない。
なんか、兄さん達の優しい気持ちを踏みにじるようで
新しいのを付ける気になれないんだ。
もう一度会って、心から謝りたい。そして、お礼を言いたい。