672 名前:彼氏いない歴774年[sage] 投稿日:2009/07/04(土) 15:08:15 ID:aP/cPsNI
長文投下
私の中学は荒れていることで有名だった。暴力沙汰、ガラスが割れるは毎日。
主犯は5人の男子の集団で、根暗ブスの私は何度もpgrされたことがあって見るだけで動悸がするくらい恐かった。
その集団の中に、小・中とずっと同じクラスだったT君がいた。
彼は勉強嫌いで、教科書も鞄も持たず、毎日なぜかサインペン1本だけで登校していた。
今年こそクラス離れますように」と祈り続けたにもかかわらず9年間同じクラス。クラス発表の帰り道には泣いた。それほど怖かった。
更に中3には隣の席になるという最悪なことに。毎朝胃が痛かった。
赤面症&ブス&声キモい&pgr怖い、の私はみんなの前で発言するのが苦手だった。「喪山さんの声聞いたことない」とよく言われた。
なのに中3の先生たちはみんな「1授業1発言」がモットーの人ばかり。
ある日の社会の授業で、先生が県庁所在地を一人ずつ当てて答えさせた。私が当てられたのは石川県。
緊張がMAXになった私。「金沢」が出てこない。赤面して俯いたまま3分くらい経過。
その間同級生からは「遅せーな」「喋れないとか病気じゃね?」などの声が飛び、先生は「よーく考えろ!諦めるな!みんな待ってるぞ!」とよく分からない応援をしていた。
涙がおちる寸前、隣のT君が私の机の脚を軽く蹴ってきた。どうしよう怒らせた、と恐る恐る横を見ると、「かなざわ」と汚い字で書かれたT君の手のひらが目に入った。
驚いて頭が真っ白になったけど、早く言え、というように手をひらひらさせるT君に我に返り、慌てて「金沢」と答え、その場を切り抜けた。
673 名前:彼氏いない歴774年[sage] 投稿日:2009/07/04(土) 15:09:07 ID:aP/cPsNI
>>672続き
残りの授業時間、怖いけどお礼を言わなければと思っている内に、私は気づいた。
何度も不良集団には笑われたけれど、一度もT君はそれに加担していなかった。彼はいつでもやめてやれよ、と言っていた。彼だけは喧嘩をしたり、掃除をさぼったりしてない。
私はとんでもない偏見をもっていたのだとハッとした。恋ではなかったけれど、T君を見る目がその1時間で一変した。結局お礼も言えず、手にサインペンで書かれた“かなざわ”を「T、何だよその落書き」と仲間にからかわれる彼を見ているだけでその日は終わった。
でも、翌日から胃の痛みが嘘のように消えた。相変わらずT君とは喋らなかったけど、根拠のない怯えは無くなったし、少し気持ちが明るくなったと思う。
母からも「喪子の表情が明るくなった気がする。良かった。」と言われた。
卒業して、私と彼は違う高校に進学した。
あまり気の進まなかった去年の成人式、4人のカラフルな袴に混じって、T君は黒いスーツで笑っていた。
退場の時、なんと偶然隣に並んだ。更に驚いたことに、「あれ、喪山さん?」とT君から話しかけてくれた。
彼は今、下宿して大学で看護士になるために勉強しているらしい。
9年間同じクラスにいながら、まともに喋ったのはそれが初めてだった。
別れ際に、勇気を振り絞って「中3の時、金沢って教えてくれたの覚えてる?嬉しかったです。ありがとう。」と言った。
T君は「ああ~懐かしいな。俺もあの時は若かった」と笑っていました。
本当は「金沢」だけじゃ収まらないくらいの恩を貰いました。恋ではなく、心から尊敬しています。
優しい看護士になって頑張って下さい。
長文失礼しました。
長文投下
私の中学は荒れていることで有名だった。暴力沙汰、ガラスが割れるは毎日。
主犯は5人の男子の集団で、根暗ブスの私は何度もpgrされたことがあって見るだけで動悸がするくらい恐かった。
その集団の中に、小・中とずっと同じクラスだったT君がいた。
彼は勉強嫌いで、教科書も鞄も持たず、毎日なぜかサインペン1本だけで登校していた。
今年こそクラス離れますように」と祈り続けたにもかかわらず9年間同じクラス。クラス発表の帰り道には泣いた。それほど怖かった。
更に中3には隣の席になるという最悪なことに。毎朝胃が痛かった。
赤面症&ブス&声キモい&pgr怖い、の私はみんなの前で発言するのが苦手だった。「喪山さんの声聞いたことない」とよく言われた。
なのに中3の先生たちはみんな「1授業1発言」がモットーの人ばかり。
ある日の社会の授業で、先生が県庁所在地を一人ずつ当てて答えさせた。私が当てられたのは石川県。
緊張がMAXになった私。「金沢」が出てこない。赤面して俯いたまま3分くらい経過。
その間同級生からは「遅せーな」「喋れないとか病気じゃね?」などの声が飛び、先生は「よーく考えろ!諦めるな!みんな待ってるぞ!」とよく分からない応援をしていた。
涙がおちる寸前、隣のT君が私の机の脚を軽く蹴ってきた。どうしよう怒らせた、と恐る恐る横を見ると、「かなざわ」と汚い字で書かれたT君の手のひらが目に入った。
驚いて頭が真っ白になったけど、早く言え、というように手をひらひらさせるT君に我に返り、慌てて「金沢」と答え、その場を切り抜けた。
673 名前:彼氏いない歴774年[sage] 投稿日:2009/07/04(土) 15:09:07 ID:aP/cPsNI
>>672続き
残りの授業時間、怖いけどお礼を言わなければと思っている内に、私は気づいた。
何度も不良集団には笑われたけれど、一度もT君はそれに加担していなかった。彼はいつでもやめてやれよ、と言っていた。彼だけは喧嘩をしたり、掃除をさぼったりしてない。
私はとんでもない偏見をもっていたのだとハッとした。恋ではなかったけれど、T君を見る目がその1時間で一変した。結局お礼も言えず、手にサインペンで書かれた“かなざわ”を「T、何だよその落書き」と仲間にからかわれる彼を見ているだけでその日は終わった。
でも、翌日から胃の痛みが嘘のように消えた。相変わらずT君とは喋らなかったけど、根拠のない怯えは無くなったし、少し気持ちが明るくなったと思う。
母からも「喪子の表情が明るくなった気がする。良かった。」と言われた。
卒業して、私と彼は違う高校に進学した。
あまり気の進まなかった去年の成人式、4人のカラフルな袴に混じって、T君は黒いスーツで笑っていた。
退場の時、なんと偶然隣に並んだ。更に驚いたことに、「あれ、喪山さん?」とT君から話しかけてくれた。
彼は今、下宿して大学で看護士になるために勉強しているらしい。
9年間同じクラスにいながら、まともに喋ったのはそれが初めてだった。
別れ際に、勇気を振り絞って「中3の時、金沢って教えてくれたの覚えてる?嬉しかったです。ありがとう。」と言った。
T君は「ああ~懐かしいな。俺もあの時は若かった」と笑っていました。
本当は「金沢」だけじゃ収まらないくらいの恩を貰いました。恋ではなく、心から尊敬しています。
優しい看護士になって頑張って下さい。
長文失礼しました。