226 名前:癒されたい名無しさん[] 投稿日:04/11/25 02:54:49 ID:vnKhjN42
俺のじいちゃんの話。
じいちゃんは母方の人で、すごく厳しかったけど、すごく優しいひとだった。
うちは両親がほぼ駆け落ちみたいにな感じで結婚して、
とてつもない苦労をじいちゃんたちにかけた。
しまいに父は金遣いが荒く、借金をしては請求書をじいちゃんに
叩きつけ、借金が嫌いなじいちゃんはいつも肩代わりをしていた。
幸いにもある程度の資産があったので、生活の危機には陥らなかったが、
じいちゃんはひどく悩んでいた。

時は過ぎ、両親は離婚すると母は俺と姉二人をつれて家を出た。
新しい男と暮らすために。
後になって聞いたところだと、じいちゃんは母の知らないところで
俺らのために家を用意していてくれたらしい。
そして俺らが出て行ったのを知るとひどく落ち込んだらしいのだ。

そして時が流れ、俺も小学生の高学年になっていた。
ある日、一通の手紙がきた。
その内容は、じいちゃんが死んだってこと。
韓国人のじいちゃんは日本で成功するために人種差別などに耐え努力した。
そして会社を立ち上げるまでに至ったが、その日々はかなり寿命を縮めていたらしい。
手紙は叔母からで、亡くなってからかなり日が経ってはいるが
三回忌には出てもらいたくて血眼でさがしたのだ。

三回忌で叔母たちに会うと、みな涙を流した。
そして俺らが出て行った後のことを聞くと、
じいちゃんはひどく落ち込んだが、ずっと俺らのために家を残していてくれた。
決して弱音は吐かない人で、病にかかった後でも、辛い、悲しいなどとは
全く口にしなかったのだ。
いつしか寝たきりになり、痴呆もでてきて、もうそんなに長くないといわれていた。
そして峠を迎え、親戚たちがじいちゃんのとこに集まって、最期を見届ける時、
ばあちゃんが「今、一番会いたいのは誰?」と聞くと、
「…あっ、………………。」
じいちゃんは10年以上会ってない俺ら三人姉弟の名前を口にしたのだ。
そしてゆっくり瞳を閉じ、帰らぬひととなった。

それを聞いた俺は自然と涙が流れ、声にならない声で泣いた。

今では死に目に会えなかったことが悔やまれるけど、
これ以上辛い思いはさせないよう、俺はじいちゃんを目標に強く生きてる。