383 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2009/08/01(土) 19:58:32 ID:RuYPz67v
旅話でもひとつ。友人から聞いた和み。

1/2

昔AとBはレンタカーを借りてアイルランドのダブリンを走っていた。
ホテルまでの道に迷い、あちらこちらとぐるぐる走っているうちに、
どんどん住宅街に入ってしまった。
辺りは暗くなりかかっていて、ドライバーAとナビをやっていたBは
相当焦っていたらしい。
道はどんどん細くなっていき、走っているのは自分たちの車一台だけ。
標識なんてあるはずもなく、とにかくのろのろと進むしかない。
しばらくして、道で遊んでいる少年たちを見つけた。
人数は15人前後。
「あ、良かった。聞いてみよう」
少年たちのところにゆっくり近づいて車を停め、窓を開ける。
と、興味津々の少年たちが、わらわらと一斉に集まってきた。
英会話が比較的堪能なAが地図を見せて尋ねる。
「私たち、この道路に出たいんだけど、どう行けばいいか知ってる?」
すると、少年たちは親切に教えてくれた。
一斉に。

「知ってるよ!」
「あっちに行くんだよ、右に曲がるの!」
「えーとね、ちょっと待ってね、右に曲がってそれから左!」
「7ロードね、7ロード、7ロード!」


384 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2009/08/01(土) 19:59:13 ID:RuYPz67v
2/2

「俺に任せろ!」
「俺が言う! 俺が言う!」
「聞いて聞いて! 右、左、左だよ!」
「おねーさんたちどこから来たの!?」
「7ロードに出るんだよね、右行って左行って左ね、最初は右!」
「違うよ、左だよ左!」
「ちげーよ! 嘘教えんなよ!」
「僕知ってるよ!」
などなど、はーいはーい!と手をあげて自己アピール。
とにかく全員が「俺がやるぜ俺がやるぜ!」状態。

やがて、最年長者らしい一人が全員を黙らせ、代表して教えてくれた。
ふたりは彼らに礼を述べ、発進。
少年たちは車が見えなくなるまで嬉しそうにぶんぶん手を振っていた。これまた全員。
ふたりは、彼らが見えなくなってから大爆笑。
異国で散々迷って、もう夜だしどうしよう、と焦っていた心が
俺が俺がと道を教えてくれようとした少年たちのおかげですっかりなごんだそうだ。
「いやー、あのときは面白かったよ。全員一斉にしゃべりだすから
なに言ってるか全然わからなくて(笑)」
「もうね、目がきらっきらしてるの、顔輝いてるの(笑)」
たぶん、あの年頃の子供は道を聞かれることなんてほとんどなく、
住宅街では滅多に見ないだろうオリエンタルの旅行者!
ということも大いに手伝ったのだろうと言っていた。

自分は免許を持っていないので、レンタカーだとそういう出会いもあるんだなぁと
ちょっと羨ましかった。