295 :ガラクタ屋 :2006/07/19(水) 15:26:12 ID:izKf8Gf0
 4年前に両親に相次いで先立たれた農家の次男の俺、農地や家屋は年の離れた兄が引き継ぎ、
俺はテナントが夜逃げして廃墟になったスタンドを相続した。
整備の専門学校を出て修理工の職を転々としていた俺は、アパートを引き払い、スタンドを根城に
ポンコツを修理してオークション会場やヤフオクに回し細々と生活していた。
東北地方の主要国道沿いなので原付や小型二輪に荷物を満載して北海道を目指す旅人の通過点となっている。

一昨年の丁度今ごろだったと思う。
朝起きて外に出ると荷物を満載したメイトとその脇に蹲っている人影があった。
「おはよう~これから北海道ですか?」
と声をかけると、眠っていたのだろうか、背中をびくっとさせこちらを振り向いた。
振り向いた人影は薄汚れた女だった。何でも2~3k手前でパンクして強引に走っていたらチェーンが外れ、
ここまで押してきたようで、俺のガレージの前まで来てここなら何とかしてくれると思ったらしい。
「あの~あまりお金が無いんですけど、いくらくらいで直りますか?」
彼女は財布を覗き込みながら俺に尋ねた。
メイトを見てみると刷毛で白く塗られてはいるが、どうみても10年前の型だ。
チェーンのカバーを外して見たら赤錆びたチェーンと歯が磨り減ったスプロケが出てきた。
見なかったことにしようか?そんな思いが脳裏をよぎった。

「少なくともチェーンとスプロケを換えなきゃこの先不安だね。タイヤもワイヤーが出てるし・・・」
俺の言葉に彼女は俯いてしまった。
「あと1時間もすれば取引のあるバイク屋が開くから聞いてあげるよ。」
俯いてる彼女に缶コーヒーを手渡し、地べたに座り込んだ。
彼女は緑(マキバオーに似てたから)横浜の21歳、専門学校卒業後リクルートに失敗し、フリーターしてたが、
牧場での仕事に憧れ何も考えずに家を出てきたらしい。
ヤマハメイトはバイトしていた新聞屋の払い下げを貰ったとのこと。
話をしているうちに、彼女の薄汚れた顔と服と臭いが気になったので俺はシャワーを勧めた。


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