16 名前:16[sage] 投稿日:02/12/10 02:25 ID:wAunvgUz
私の母は料理上手でした。
そんな母が毎朝作ってくれる豆腐とワカメの入ったみそ汁が、大好きでした。
おかわりをせがむ私に母は「そんなにみそ汁ばっかり飲んでどーするの」と
笑いながら叱りました。

けれど中学生になって反抗期に入ると、親の作ったものを食べるのが嫌になってきて
朝はトーストやコーンフレークで済ますようになりました。
そうすると母は毎日みそ汁の具を大根やら油揚げやらいろいろ替えてみて
「今日はね、サツマイモのみそ汁なのよ、いいでしょ?」「今日のみそ汁はね・・・」
と私に話し掛けてきました。
ずっと無視していましたが、ある日、母があまりにしつこく言い続けるので、
あんたの作ったみそ汁なんていらない、ほっといてよ、と怒鳴ったら
母は引きつった悲しそうな顔をしました。


17 名前:16[] 投稿日:02/12/10 02:28 ID:wAunvgUz
それ以来、母は私にみそ汁を勧めてこなくなりました。
けれど必ず父と母、それと私の3人分のみそ汁を作っていたらしく、
冷蔵庫の中に一人分のみそ汁がタッパーに入っているのを毎日目にしました。

そんな日が2年半位続いた頃、母が交通事故で亡くなりました。
葬儀も何もかも終えて冷蔵庫を見ると、例のタッパーが入っていました。
鍋に移しかえて温めて飲みました。
嗚咽が止まらなかった。


本当にごめんね、ごめんねお母さん。
あれからいろんなみそ汁を飲んだけれど、
やっぱりお母さんの作った豆腐とワカメのみそ汁が、一番おいしいよ。