823 名前:なごむ[sage] 投稿日:2008/02/28(木) 19:49:02 ID:sFoEbXQy0
鶯で思い出した。

子供の頃住んでた家は工業地帯の団地で、団地の近くに昔からある古い家があった。
庭も納屋もあるような家で、春先に必ず鶯が鳴いていたから
きっと梅の木もあると何となく思ってた。
鶯の声を聞くと「春が来たんだなぁ」と子供ながらに思いっていた。
中学3年になり、身長も伸びたので垣根の向こうの庭も見えるようになったある日
鶯の声が聞こえたので庭をこっそり覗いて、鶯はどこかと梅の木を探したら
縁側でお爺ちゃんが、鶯笛を吹いてた。
私と目が合ったお爺ちゃんは、ばつが悪そうに笑った。
15年間、本物だと思ってた鶯の声は、お爺ちゃんの笛だった。
実は、大人達はこの事をみんな知ってるらしく
子供達が喜ぶからと、お爺ちゃんが何年も春先に吹いてただけだった。
昔は本物が来てたんだけど、工場が増えるにしたがって空気が汚れていなくなっちゃったんだって。
でも、春に聞こえる鶯の声も知らないで育つ子供達は可愛そうだからって
お爺ちゃんが天気のいい日に、縁側でずっと吹き続けてくれてたんだ。

大人になったからもう分るけど、笛と本物はだいぶ違う声だ。
でも、私にとってはあの声が、春に梅の木で鳴いていた鶯なんだ。
私はもう違う土地に引っ越して、お爺ちゃんの鶯は聞けないけれど
今いるこの土地も鶯来ないから、鶯笛練習してみようかと思う。