268 :252復活 :03/10/07 23:06 ID:AiP2fHmO

学生時代、西荻窪にあった学生寮に住んでいた。築ウン十年のボロボロの建物に、野郎ばかりが数十人住んでいた。
トイレも風呂も共同だったが、部屋は各自に個室があてがわれていたので、かろうじてプライベートの時間は、
リラックスして1人のんびり過ごす事が可能だった。
当時ボブ・マーリーに完全にハマっていた俺は、その日も深夜遅くまでお気に入りのステレオで、レゲエを
大音量で聴いていた。といってもここは壁が薄い建物、隣人から苦情が来ないように、ヘッドフォンで聴いた。
ジャマイカの熱いリズムにノって、気分が高まってきた俺は、風呂上がりにもかかわらず、衣装(ただのジャージ)に着替え、
最終兵器の“ライブ盤”を取り出した!これを聴いてる時は、いつだって自分がボブになれのだ。
すっかりボブになりきった俺は、大観衆が見守る中(←妄想)、激しいダンスを踊り、頭を左右に振り乱し、ギターソロの時は
ちゃっかりギタリストに変身し、ドラムが格好イイ部分ではドラマーになり、そして最後はやっぱりボブに戻って
口をパクパクさせながら汗だくで熱唱した。ボルテージは最高潮!一曲一曲が終わる度に聞こえる観客の声援に(←妄想)、
俺は両手をあげて答えた。しかし、その時、突然背後から俺の肩に手を触れるヤツが現れた。現実からすっかり遠い所にいた俺は
超ビックリして、思わず「ふわぁっ!」と叫んでしまった。振り向くと隣の部屋の奴が、いつの間にか俺の部屋に上がり込んでいたのだ。
しかも、入口を見ると、廊下に寮生が全員集まっていて、みんながドアの外から俺の部屋を覗き込んでいる。いったい何事か?と思って、
あわててヘッドフォンを外すと、な、な、ぬわぁんと、スピーカーから大音量でボブ・マーリーが響き渡っているではないか!?
切り替えスイッチを間違えていたのだ。
どーやら、深夜に寮中に響く爆音に怒って集まってきた寮生達も、俺の神憑かりなステージっぷりに、声をかけれなかったそうだ。
俺は、寮を出るまでの残り2年半、みんなから「ボブ」と呼ばれた。