632 名前:癒されたい名無しさん[sage] 投稿日:04/09/04 01:31 ID:aKZ5XXWY
うちの母は、小さい頃から「人のためになることをしろ」と子どもに教えてきたのよ。
だから、大人になってなんの疑いもなく骨髄バンクに登録したんだ。
知らせたら
「それはいいことだね。いつか提供できるといいね」
と言っていた。
で、ドナーに選ばれてさ。
「その人が元気になれるといいね。登録しててよかったね」
と母は言っていたわけよ。自分でもそう思ってた。
ところがですよ。いざ、提供の最終同意の段になったら、ものすごく険しい顔で
「心配なんです。後遺症が残るんじゃないか、本当に無事に終わるのか」
なんて言い出した。
何言ってんだよ。俺が登録するって言った時も、ドナーに決まったって言った時も
ずっと賛成してたじゃんか。喜んでたじゃんか。
そう言ったら、言うわけよ。
「心配なんだよ、親なんだから。お前が心配しなくていいって言ったって、
親なんだから心配するんだよ!」
だから、俺は言ってやった。
「極当たり前に、人のためになることをしようと思えるように俺を育てたのは
母さんたちだろう。心配ないよ、絶対大丈夫だって」
それで、提供の入院するときも、完全看護なのに毎日見舞いに来てくれてさ。
いらないって言ってるのに、心配だから行くんだって怒るんだよ。
まったく、勝手だよな、親ってさ。
で、無事に骨髄採取してさ。そしたらさすがにショックで血圧下がって、氷みたいに
体が冷たくなっちゃってさ。
電気毛布とかかけられて寝てるとき、母が手を握り締めてきて、言うのよ。
「無事に終わってよかったね」
手が、ものすごくあったたかった。
きっと、あのあったかさは忘れない。






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