902 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] 投稿日:04/01/29 22:57
長文ですが、失礼します。

高校のとき、大好きなおじいちゃんが亡くなった。
幼いころからずっとかわいがってくれて一緒にいてくれたおじいちゃんだった。
足を悪くし、中学のころ入院してから数ヶ月、一度も家に帰ることないまま亡くなってしまった。
私は入院し始めのころ毎日のようにお見舞いに行った。
家族の誰よりもたくさん顔を出した。なのにある日「・・・誰だったかな?・・・」と
私の顔を見たおじいちゃんが呟いた。誰よりもたくさん会いに来てたはずなのに・・・
私はその日から病室へ入れなくなった。また忘れられているかと怖かった。

高校に上がりバイトを始めた夏休みに、おじいちゃんは亡くなった。
誰にも見取られることなく一人で静かに亡くなってしまった。
私は現実として受け止めていなかった。火葬場でも私一人笑って見送っていた。
母は私の気が狂ったと思ったらしい。それくらい異様なほどに現実感がなかった。



903 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] 投稿日:04/01/29 22:58
49日が近づいていたある夜、私は夢を見た。普段あまり夢は覚えていないのだが、
あの日の夢は今でも忘れられない。
「おぉ、元気そうだなぁ。良かった良かった。」
おじいちゃんは生前愛用していた座椅子に座っていた。私は膝の上に座っていた。
「おじいちゃんひどいよ!私のこと誰だって言うんだもん。忘れちゃったんでしょ。」
「忘れてないよ。寝ぼけてただけだよ、ごめんな。」
おじいちゃんは私の頭をゆっくりとなでてくれていた。
「おじいちゃんなぁ、おまえの前だけではしっかりした頼もしいおじいちゃんでいたいんだよ。
だから、おじいちゃんが残した思い出は、おまえは見るだけにしといてくれな。」
「は?」
そこで目が覚めた。普段より2時間も早い起床だった。
台所では母が朝食を作っていた。私を見るなり玄関のダンボールを指差し泣き出した。
そこにはおじいちゃんが病室で書き溜めた短歌が本になっていた。
おじいちゃんが開いていた短歌教室の生徒さんがお金を出し合って自費出版してくれたものだった。
そこにはたくさんの歌があった。「結婚」「戦争」「息子」「孫」・・・章に分かれて書かれていた。
最後は「死」だった。その歌の訳は
「死ぬときは一人がいい。弱った最後の姿を見られたくはない」
それともう一句・・・
「自分は万人に好かれる人間ではないけど忘れられるのは怖い、死ぬのは怖い」
初めて、おじいちゃんが死んだんだと確信した。溜まっていた涙が溢れた。
母が後ろから「おじいちゃんの形見だからね。1冊持っていきなさい」
私は泣きながら何度も読み返したが、結局受け取らなかった。
それがおじいちゃんの遺言だと思っていたから。最後まで会いにいけなかった私へ
天国に上がる前に挨拶に来てくれたんだと、今でも信じている。

今でも私の中のおじいちゃんは優しくて頑固で、ちょっと見栄っ張りなままだよ、おじいちゃん。

・・・おしまいです、失礼しました。