907 名前:美麗島の名無桑[sage] 投稿日:04/01/23 17:05
電話が入ったのは、明け方のことだった。

前の夜からの深酒がたたって、半分朦朧とホテルの部屋で受話器をとった。
今夜、夕食の約束をしていた張さんのお孫さんからだった。ふとしたことから
知り合いになってから6年が経つ。台湾を訪れた折には必ず一度は晩御飯をご一緒し、
張さんの昔話に耳を傾けた。話し上手な張さんの日本統治時代の何気ない話から、
たくさんのことを学んだ。

「やあ、こんな朝早くからどうしたの? 今夜はすごく楽しみにしているよ。おじいちゃんの
大好きな日本酒もお土産に買って・・・」

「おじいちゃんが死んじゃったの。心筋梗塞、夕べ・・・」。お孫さんは電話口で号泣し、
後は言葉にならなかった。

途切れた電話を握り締め、僕はいつまでも呆然としていた。

張さん、いや、台湾のじいちゃん、こんなひ弱で情けないな日本の男と、
長い付き合いをしてくれてありがとう。まだまだ、
たくさん教えてもらいたいことがあったのに。

さようなら。もっともっと、長生きしてほしかった。