625 名前:ゲームセンター名無し[] 投稿日:02/02/12 03:43 ID:QhLhAY8T
地元のゲーセンでの話。
あまり客の来ない閑散としたゲーセンだった。
ゲーセンとしては珍しいことに、このゲーセンでは常連同士の交流がほとんどなく、
とうぜんグループも形成されておらず二人組みの常連が二組いるだけだった。
まあせいぜいが「あ、今日はあいつがいるな」と認識している程度。

その常連の中に小学生が一人いた。
コイツはほとんどコミュニケーションをとらない常連の中で唯一の例外で、
常連の間をいったりきたりしてみんなに可愛がられていた。
仮に名前をTとしよう。

ある日の夜10時過ぎ、Tの母親が慌てた様子でゲーセンに入ってきた。
受付の店員に半泣きでいうことには、父親にひどく怒られて夕方に家を出たまま
帰ってこないという。
その日は珍しく常連が10人くらいたまっていた。

そばにいて話を聞いていた常連の一人が、突然店内に響き渡る大声で言った。
 「おーい、常連集合!そっちの人もちょっと聞いて!」
 「Tが家出して帰ってない。誰か知らないか?」
すると、お互い名前もしらない常連が受付の前に全員集まった。

大捜索が始まった。
自転車で近隣を走り回るやつ、仲間に電話してTの服装と特徴を伝え、協力を仰ぐやつ、
とりあえず警察へいこうとするやつ、「見つかったらここに電話して」と
ゲーセン事務所の電話番号を皆に配る店長。
俺は自転車組だった。
一時間後にゲーセンに再集合と取り決め、散った。

今でも信じられない。
お互い顔しか知らなかった連中が、お互いの共通の弟分である
Tのために強固な捜索チームを組んだのだ。

俺はゲーセンからTの自宅方向へ向けて自転車を走らせていた。
11時半、児童公園のベンチで眠っているTを見つけた。
携帯電話からゲーセンに電話を入れ、Tを乗せてそちらにむかった。

ゲーセンの終了時間は11時。
店長は店を閉めていなかった。
電源の落とされた筐体が並ぶゲーセンの中、
まだ帰ってこない自転車組の一部を除き、全員が集まっていた。

このときの一体感と達成感は、孫にまで伝えたい。