230 名前:おさかなくわえた名無しさん[] 投稿日:04/04/10 05:11 ID:r0wATGIe
私が上京してから、いつも「おとうさんも東京に遊びに行こうかなー」と言いながらも、
大酒のみで酔っ払っては家族を困らせる父親にわたしは冷たかったので、父親は
東京に一度も遊びにきたことがなかった。

でも妹が上京する引越しの日、父親は引越しの手伝いと称してついに東京に遊びにきた。
わたしと父親はいっしょに妹の部屋へむかった。妹の部屋は駅から徒歩15分。
雨がふってきていたので、早足で歩くわたしに対して、父親はちょっと歩くと、
「みてみな、きれいなあじさいが咲いてるよ」
「猫がいるよ」
と、なにかと理由をつけて立ち止まる。
わたしは「娘と会話がしたいのかな」と思っていたんだけど、父親は途中にあった階段を一段一段、
ゆっくりしか降りれず、ついに立ち止まってしまった。
そこでわたしは、「脚が痛いんだ」と気付いた。
「歩くと脚がいたくなる」と聞いてはいたけど、まさかそんなにひどいとは思わなかった。
まだ52歳だったし…。
「さきにいってていいよ、あとからゆっくりいくから」
と、明るく振舞うを見て、きゅうに父親が小さくなったように見えた。

あれ以来、おとうさんは東京に遊びにきてない。






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