83 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] 投稿日:01/10/16 00:12
祖父母は二人暮しで、海沿いの家にすんでいた。私は祖父母が大好きで
夏になると祖父母の所に行って、夏の間中、祖父母と三人で過ごした。
小学二年生の時の夏もそうだった。私は祖父母の家で夏を過ごした。

祖父は盆栽が趣味で、海に面した広い庭に松の木を植えて浜風を避けて
沢山の鉢を庭に並べていた。ある満月の夜、夜遅くにトイレに起きた私は
祖父が月明かりの中で盆栽を眺めているのに気づいて庭に行った。
白い鉄砲百合が沢山咲いていていい匂いがした。
私が起きて来たことに気づいた祖父は、にこにこしながら
「大きくなってちゃんと世話できるようになったらこの鉢植えを一個、
あげるからね」と、笑った。

祖父が事故にあって亡くなったのは、新学期が始まった頃だった。

次の年の夏、私は祖母が一人で暮らす家に遊びに行った。庭に並んでいた
盆栽は親戚の人たちが持って帰ったり、欲しい人にあげてしまったりで
殆ど残っていなかった。その時、庭に鉄砲百合の花が咲いている
事に気づいた。そして、思い出した。祖父に言った言葉。
「おじいちゃん、私、盆栽いらない。百合の花のほうがいい、白い百合
じゃなくてピンクの百合がいい」

白い鉄砲百合の中になぜか一本だけ、ピンクの百合の花が咲いていた。
「おばあちゃん、あのピンクの百合、おじいちゃんが埋めたの?」
「誰も埋めてないよ。ピンクの百合はなかった筈なのに、不思議だね」

いつも私が帰る時に、庭の花を惜しげもなく切ってお土産にもたせてくれる
祖母はその年も私が帰る時、私が何もいわないのにそのピンクの百合を
切って私に持たせてくれた。おじいちゃんがくれたんだな、と思った。