670 名前:本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2018/08/31(金) 19:35:55.21 ID:1hNZTfWW0
中学生の頃、母がドイツで地元の人とちょっとした展覧会を開いたので、自分もお手伝い兼マスコットでついていった。
お茶や茶菓子出し以外は暇だったので、入口付近のテーブルで着物きたまんま折り紙折って、欲しがる人に渡してた。もちろん無料で。鶴とか入れ物とかチューリップとか手裏剣とかペンギンとかヤッコサンとか簡単なやつ。
作った分を机の上に並べておくと、皆喜んで持っていくもんだからこっちも嬉しかった。
ある日、どっかの俳優みたいなお兄さんがやって来て、机にあった赤い鶴をみて
「貰っていい?(゚ω゚)」
とジェスチャーしたので、差し上げた。するとそのお兄さん、展覧品を見て回った後にまたやってきて、今度はペンギンを折っている私の手元をジッと見てた。で、ペンギン完成。するとお兄さん曰く、
「鶴、もう一羽もらっていいかな?(゚ω゚)」
どうぞどうぞと、私は机に残ってた黄色い鶴を渡したら、お兄さんちょっと(・ω・`*)な顔になった。そして少し恥ずかしそうにこう言った。

「できれば、さっきと同じ赤がいいんだ。彼女にあげたくて…。ほら、こうやって二羽をペアでならべてベッドルームに飾ると、とてもロマンチックだろ?(*゚∀゚*)」

で、赤い鶴を作ってあげると、お兄さんは(*´▽`*)な顔をしながらダンケをくりかえし、二羽を大事そうに持って帰った。
さっき作ったペンギンは、杖をついたおばあさんが手にとった。
「このペンギンもらえる?あと、この入れ物を作るところを見たいわぁ♪」
私が折り折りしてるところを、おばあさんは椅子に座って(*⌒ω⌒*)な顔して見てた。で、でき上がって入れ物とペンギンを手渡すと、おばあさんは別に飾ってあった入れ物に5マルク(向こうでいうと500円玉)をいれてきた。びっくりして、お金は貰えないっていうと、

「いいの。私が払いたいんだから。それにドイツではこうするのよ(*´▽`*)」

それからおばあさんは杖をつきながらも毎日やってきて、私が新作を折るのを嬉しそうに眺めてた。入れ物の中にはいろんな人が入れた小銭がいつの間にか増えていた。

またある日、ドイツの生け花先生のお弟子さんがやってきて、赤いチューリップが欲しいと言った。赤いチューリップと、あと緑の折り紙で茎と葉っぱを作ったらもの凄く感激された。

時は流れ、数十年後の一昨年。
やっぱりお手伝いでドイツに行って、ある日ホームパーティーに呼ばれた。そして、その家の奥様が昨日作られたみたいに綺麗にガラスコップの中に飾られた、赤いチューリップを持ってきた。

「これ、覚えてる?(*´▽`*)」

あのとき私が作ったチューリップだった。
こんなにも大事にとっておいてくれたことと、いろんな思い出が蘇ってきて、思わずウルッときてしまった。涙もろいのはワインとビールのせいだといいながらも、私たちは再会に乾杯した。