836 名前:おさかなくわえた名無しさん[] 投稿日:04/06/03 15:31 ID:kS9Y3tLF
高校2年生の春先、大好きだったお婆ちゃんが亡くなった。
体の調子が悪いとずっと言ってて、病院で調べたら末期のすい臓癌。
もって半年という状態だった。

お見舞いに行くたびに、ふくよかだったお婆ちゃんの体は
見る見るうたに痩せていき、骨と皮だけになっていった。
でも子供だった私は、きっと良くなると信じていた。

ある日、お婆ちゃんは「今年は、桜が見られるのかねぇ」と呟いた。
母は「きっと見られるよ。咲いたらお花見に行こうね。」と言った。
お婆ちゃんは「楽しみだねぇ。」と嬉しそうに笑った。

それから1ヵ月後、お婆ちゃんは亡くなった。
私はお婆ちゃんが亡くなったという事実を受け止められなくて、
棺に入る時でさえ、信じられなくて呆然としていた。

お葬式の日の朝、ふと庭の桜に目をやると、昨日まで咲き始めだったのに
5分咲きくらいまで花を咲かせていた。
私は一番キレイに咲いている枝を切り、お婆ちゃんの棺に入れた。
赤い口紅を付けたお婆ちゃんの口元が、ちょっと笑ったように見えた。
途端に私は涙が止まらなくなって、心の中で何度も
「お婆ちゃん、今までありがとう…バイバイ。」と呼びかけた。






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