828 名前:大人の名無しさん[sage] 投稿日:03/01/22 08:24 ID:3VEU/+s3
私が生まれた一週間後に、私を産んでくれた母は死んでしまった。
父が再婚してから、家に居場所が無くなった。
小さい窓が一つだけあるろくに日も差さない、
テレビも暖房も冷房も無い部屋が与えられて、そこに居る事だけが許された。
食事を家族と一緒に取った事が無かった。家族と言葉を交わす事も無かった。
そもそも食事もまともなものじゃなかった。たまに忘れられた。
記憶と体に残るのは、無数の生傷と火傷と、恐怖感だけだった。
友達も学校の先生も、誰も助けてくれなかった。助けられなかったんだと思う。
誰も恨んでいない。だってどうしようもない事だ。

18歳の時に逃げ出した。
お金は無かったけど、空が青いとか、好きなだけご飯を食べていいとか、
ぶたれたり、蹴られたりしないとか、ものすごく嬉しかった。
何か失敗しても、殴ったり蹴ったりする人がいなくて、嬉しかった。

24歳の時、従兄が偶然私を見つけて会いに来た。
親には居場所を黙っててくれた。
ぶっきらぼうで、すぐにバカだののろまだの罵る従兄だったけど、
不思議と嫌に感じなかった。
私にパソコンを作ってくれた。病気になった時、大雪の中病院に連れて行ってくれた。
お金が無くてひもじかった時、ご飯を奢ってくれた。
誰より私を心配してくれてたのは、この口の悪い従兄だったのかもしれない。


829 名前:828[sage] 投稿日:03/01/22(水) 08:27 ID:3VEU/+s3 [2/3]
三年前の雪の日、従兄がふらっと家に来た。
一緒にご飯を食べに行って、今付き合ってる彼氏が結婚しようって
言ってくれたって伝えた。
従兄はやっぱり口が悪くて、
「お前みたいなブスで頭の悪い女貰うなんて、物好きだよな。」って笑った。
そうだね、物好きだよねって、一緒に笑った。
従兄と一緒に過ごした時間で、一番たくさん喋った。たくさん笑った。
一番楽しい日だった。
その一週間後に、従兄が亡くなった。
灯油をかぶっての焼身自殺だった。

私は彼に甘えてばかりで、何もしてあげる事が出来なかった。
自分の事でいっぱいで、彼がそんなに苦しんでいた事に、気付かなかった。
自分ばっかり可愛がって、彼が思いつめている事にすら、気付かなかった。

ごめんなさい。
ごめんなさい。ごめんなさい。
私はあなたの言う通り、バカで気が利かなくて、お金も無かったけど、
でも、何か出来たかもしれないのに。何か力になれたかもしれないのに。
どうして何も言ってくれなかったんだろう。

結局、例の彼氏とは結婚しなかった。今も私は独身のままだ。
今でも、従兄の愛車と同じ車を町で見かけると、胸が痛くなる。

従兄が亡くなったのが、丁度今の時期だ。
この時期は眠れなくなる。毎日のように泣いてしまう。
多分、私が泣いたら、従兄は悲しむってわかってるのに。