63 :(仮称)名無し邸新築工事 :sage :2006/01/16(月) 21:17:36 ID:???
カコイイお父さんの、ばいよれんすな話
漏れの父は大工
自宅の1階が作業場兼倉庫で、たくさんの電動工具があり
そのなかに、最も高価な200Vの動力プレーナもある
漏れが小学生の頃
父はいつものように、作業場で削り物をしていた
小学校から帰ってくると、専業主婦である母もいなかった
おかしいなと思いつつ、ランドセルを放り投げて遊びに行った
夕方、遊び疲れて帰宅すると、父が布団で寝ていた
母が、眼を真っ赤にして座っていた
「おとうさん、ちょっとケガしちゃったのよ」
右手の指に、指の太さの3倍くらいの白い包帯が巻かれていた
「お父さん、どうしたの?!」
「指先をケガしちゃったのよ」
「お父さん、だいじょうぶ?」
「すぐに元気になるから、今は寝かせてあげてね」
「…うん」
動力プレーナで右手中指の先を1cmほど飛ばしたそうだ
もちろん骨まで達するケガで、それでも痛みを堪えて
鉋屑の中から、切断された指先を拾い上げて、自力で
クルマを運転し(母は免許を持ってないので横に乗った)
救急病院に着いたところで、痛みに耐えかねて気を失ったそうだ
続く
64 :(仮称)名無し邸新築工事 :sage :2006/01/16(月) 21:24:21 ID:???
続き
ちょっと大柄な父を、病院の人達はクルマから引きずり出して
処置室へ運んで治療してくれたそうだ
母が氷で冷やしながら運んだ、飛ばされた指先は、損傷が激しくて
接合できなかったらしい
そして父は、丸3日は痛みに耐えながら寝ていたが
4日目からは起きあがり、6日目には仕事を再開した
その間、漏れは学校が終わると毎日走って帰り、父のところへ行った
「おとうちゃん、痛くない?」
「痛くないよ、お父ちゃんは強いんだ」
「強かったら痛くないの?」
「そうだ、だから心配しなくていいんだ」
「…うん」
でも、夜中に「うーん、うーん」と呻っていたのは知っている
漏れが寝るまで、呻るのを我慢していたのだろう
父はもう60を越えたが、まだ現役の大工だ
さすがに昔のように、大屋根をひょいひょいと歩いたりはしないし
老眼が進んだので眼鏡をかけてはいるが、現役だ
そして、200Vの動力プレーナも現役だ
たまに実家に帰ると父は「父の場所」に座っている
お前も飲むか?と、漏れにビールを注いでくれる
ビール瓶を持つ父の、右手の中指は、他の人よりちょっと短い
漏れはそんな父を尊敬している
カコイイお父さんの、ばいよれんすな話
漏れの父は大工
自宅の1階が作業場兼倉庫で、たくさんの電動工具があり
そのなかに、最も高価な200Vの動力プレーナもある
漏れが小学生の頃
父はいつものように、作業場で削り物をしていた
小学校から帰ってくると、専業主婦である母もいなかった
おかしいなと思いつつ、ランドセルを放り投げて遊びに行った
夕方、遊び疲れて帰宅すると、父が布団で寝ていた
母が、眼を真っ赤にして座っていた
「おとうさん、ちょっとケガしちゃったのよ」
右手の指に、指の太さの3倍くらいの白い包帯が巻かれていた
「お父さん、どうしたの?!」
「指先をケガしちゃったのよ」
「お父さん、だいじょうぶ?」
「すぐに元気になるから、今は寝かせてあげてね」
「…うん」
動力プレーナで右手中指の先を1cmほど飛ばしたそうだ
もちろん骨まで達するケガで、それでも痛みを堪えて
鉋屑の中から、切断された指先を拾い上げて、自力で
クルマを運転し(母は免許を持ってないので横に乗った)
救急病院に着いたところで、痛みに耐えかねて気を失ったそうだ
続く
64 :(仮称)名無し邸新築工事 :sage :2006/01/16(月) 21:24:21 ID:???
続き
ちょっと大柄な父を、病院の人達はクルマから引きずり出して
処置室へ運んで治療してくれたそうだ
母が氷で冷やしながら運んだ、飛ばされた指先は、損傷が激しくて
接合できなかったらしい
そして父は、丸3日は痛みに耐えながら寝ていたが
4日目からは起きあがり、6日目には仕事を再開した
その間、漏れは学校が終わると毎日走って帰り、父のところへ行った
「おとうちゃん、痛くない?」
「痛くないよ、お父ちゃんは強いんだ」
「強かったら痛くないの?」
「そうだ、だから心配しなくていいんだ」
「…うん」
でも、夜中に「うーん、うーん」と呻っていたのは知っている
漏れが寝るまで、呻るのを我慢していたのだろう
父はもう60を越えたが、まだ現役の大工だ
さすがに昔のように、大屋根をひょいひょいと歩いたりはしないし
老眼が進んだので眼鏡をかけてはいるが、現役だ
そして、200Vの動力プレーナも現役だ
たまに実家に帰ると父は「父の場所」に座っている
お前も飲むか?と、漏れにビールを注いでくれる
ビール瓶を持つ父の、右手の中指は、他の人よりちょっと短い
漏れはそんな父を尊敬している