150 名前:ゲームセンター名無し[] 投稿日:02/03/16 02:07 ID:RLeBHed1
あれは去年の夏だったと思います。そのころ私は『機動戦士ガンダム 連邦VSジオン』
にばっちりはまっていました。
大学やバイト先にゲーム仲間はいるものの、学校近辺や地元にまだお目見えしてない
このゲームをやるため、私はあしげく渋谷に通っていました。
そんなわけでいつも一人プレイ専門でやってきた自分は、たとえ協力プレイの
人間二人を相手にしても負けないすべを模索しつづけてきました。
努力のかいあってか少しずつ上達し、それにつれて変なエゴイズムができてしまったのが
ちょうどこの夏の頃でした。
いかにも「引きこもりのリハビリにきました」みたいな方々が
協力プレイを申し込むだけでイライラ。
ましてやそいつが勝手にガンダムで突っ込んでいって2度とも撃破された日にゃあ
『世のため人のため、こいつは成敗せにゃなんねえな』ッてな気分で
思わず蹴りぶっこんじまいそうになってました。

そんなすさんだ日々に終止符を打ってくれたのが、名も知らぬあるおじさん。
年のころは30台半ば、軽やかな服装に身を包んだ気さくそうなおじさんでした。
シャア専用ゲルググとギャンの連携に苦しめられていた私を見かねて
協力プレイを申し出てくれたのです。
しかしプレイに精神を没頭していた私は切れそうになりました。
おまけに選んだモビルスーツが『ガンダム』、最悪のパターンです。
…今までに何度もありました。初代ガンダムを生で見ていた世代、
彼らは憧れだけで機体を選び、乱射してのち弾切れのところを撃破されるのです…
私は(またか…俺の大事な100円が、あと30分は遊べたはずの100円が消えていく)
などと考えながら顔を伏せ、ゲーム開始を待ちました。
やけになった私は(今日こそは自ら突っ込んでやる。為すすべなく敗戦していく
気持ちを知れ!)などと思い、機体をブースト・オンさせたのです。


151 名前:150[] 投稿日:02/03/16(土) 02:08 ID:RLeBHed1 [2/2]
そのとき背後に気配を感じました。なんとおじさんガンダムがぴったり張り付いて
いるのです。予想していなかった行動に私は戸惑いました。
そのあとは夢のようでした。まるで私が攻撃するのを先読みしたかのような
絶妙のタイミングで、おじさんビームが自機の横をすり抜け相手にヒット!
無防備なまま立ち尽くす相手に思う存分斬撃を叩き込みました。
自機に警告ランプが鳴り響いても気になりません。一瞬後におじさんが撃破してます。
慌てふためく敵チーム、この日何匹葬ったか数知れません。

あれから半年以上たって、今ではほとんどガンダムに手を出すことはありません。
でも、『アーケイドでは紳士たれ』と誓いプレーしつづけられているのは
紛れもなくあのおじさんのおかげです。あれから一度も見ていないけれども…

  有難う御座いました!





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