743 名前:1/3[sage] 投稿日:2005/07/14(木) 19:19:42 ID:ayjqdx9QO [1/3]
彼女と俺は同じ大学。二人とも無事四年生になってすぐの四月、連日のように中国での反日デモがニュース番組を賑わしていた頃のこと
どうしても険悪なムードになるから、二人でいるときは極力見ないように努めていたし、口にも出さないようにしていた。(サッカーアジアカップのときに一悶着あったもんで)
しかし、その日は二人とも朝の支度に追われ、時計代わりのテレビを点けたまま彼女は化粧を、俺はパンを頬張ったりしていた。まあ、はたから見ればよくある朝の風景…
いつもは見ない「とくだね」が襲撃される日本料理店を映し出す。暴徒の声。化粧に勤しむ彼女には画面を見なくても意味が解るだろう、当然だが。
「なんて国だ…」ぼそっと、しかし彼女に聞こえるのを承知で吐き捨てるように言ってしまった。評論家の辛辣なコメントに触発されたかのように、俺は今まで溜めていた怒りや憂いをあたかも独り言のように彼女の背中に浴びせた。
彼女は眉の形が気に入らないらしく何度もやり直していた


744 名前:2/3[sage] 投稿日:2005/07/14(木) 19:20:36 ID:ayjqdx9QO [2/3]
(続き)
そろそろ時間なので上着を選んでいたら彼女が
「そんなに嫌い?」
と妙に落ち着いたトーンでぽつりと呟いた。
「あの人たちがやってることは本当にバカで情けない、けどそれには原因がある、理由がある…」
語気がだんだん荒くなるのが手に取るように分かった。いつの間にか議論とはいえない口論に…。お互い溜まってたんだろう。内容はと言えば、政府同士のやりとりよろしく噛み合わない、平行線。
さすがにもう出掛けないとやばいのでだんまりを決め込んで玄関に向かったら、うしろから裾をつかまれ
「けんかしたくない…」と、さっきまでの剣幕が嘘のように。背中越しにも泣いているのがわかった。
もう抱き締めるしかなかった。ことばが見つからない。狭い玄関で二人で声をあげて泣いた
情けなかった。さっきまで日中両国の関係について評論家ぶった口をきいていた男が、一人の恋人をこんな風に泣かせている。「愛しているのにとっても不幸せ、どうしたらいい?」古い漫画の一節が浮かんだ
ひとしきり泣きあって、結局ゼミは休んでしまった


745 名前:3/3[sage] 投稿日:2005/07/14(木) 19:22:15 ID:ayjqdx9QO [3/3]
(続き)
先日、彼女の誕生日ということもあって久しぶりに二人で田舎に帰った。
父方の祖父(故人)は戦前から中国の領事館にいた(祖母は大陸まで祖父を追って半ば押し掛け女房のように結婚したらしいです。ありえないw)
ただその赴任先が南京だったということを彼女に話したら少し複雑そうな顔をしていた。祖父は軍人ではなかったんだが、まあ仕方ないことだろう。
何度か顔を会わせていることもあり、祖母や両親、妹ともすっかり打ち解けてくれて(特に祖母のメチャクチャな中国語がツボらしい)理解のある家族に感謝した。
帰りしなに祖父の墓参りに二人で行ってきた。やはり祖父にも報告しないと思ったので。一応彼女に聞いてみたら、総理の靖国参拝は反対だけどおじいちゃんならいいよ、だそうだ。あまり変わらない気もするが…
墓前で
「手はたたく?」
「それ神社」
なんてやりとりをしつつ、祖父への報告も終え帰路に着いた

来春結婚します。夏休みに彼女の両親に会いに行きます。まだお互い完全に理解したとは言えないけれど、ゆっくりゆっくり幸せになりたいと思います。
最後に最後の大喧嘩の日に彼女に送ったメールを

我們可以互相愛
絲毫不必担心
(私たちは愛し合える、何も心配はいらない)

長文失礼しました


今朝、フレッシュネスバーガースレにいた奴出てこい