718 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2015/10/03(土) 20:35:11.01 .net
伝説の勇者と魔王の最終決戦

魔王「勇者よ。私に付けば世界の半分をお前にやろう」
勇者「半分!?」
魔王「(なんかリアクションが大げさだな……)」
勇者「は、半分……」
魔王「(なかなかいい手応えだな、所詮人の子か)」
勇者「ひ、一つ聞きたい!」
魔王「何だ」
勇者「その半分にお前は含まれているのか!」
魔王「は?」
勇者「世界の半分だろ!
   それは土地だけじゃなくそこに住む者も含めての話のはずだ!」
魔王「もちろんそうだが」
勇者「な、なら!」
魔王「だが私を含むわけ無いだろう」
勇者「」ガーン
勇者「そ、そんな……」ガク
魔王「(なんだ一体……)」






719 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2015/10/03(土) 20:37:09.85 .net
勇者「じ、じゃあ! 10分の1でいいからお前を入れるというのは!」
魔王「10分の1だろうと1000分の1だろうと
   私がお前のものになったら分ける意味などあるまい」
勇者「なら、私もお前のものになれば問題ないって事だな!」
魔王「(なんか戦ってないのに疲れてきた)」
魔王「お互いがお互いのものなんて恋人でもあるまいし」
勇者「! お、お前……」
魔王「?」
勇者「そういうのは約束が成立したあと少し恥ずかしそうに言えよ!」
魔王「…………」
魔王「お前は私に何を求めているんだ」
勇者「お前自身だ!」
魔王「……? 魔王の座が欲しいというわけか?」
勇者「違う!」
勇者「ああもう、お前と話していても埒が明かん!」
魔王「それはこっちのセリフだ」
勇者「よし、お前の親連れて来い!」
魔王「何故?」
勇者「で、その後私の両親に会え!」
魔王「何故?」


720 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2015/10/03(土) 20:39:35.06 .net
魔王「お互い親を持ちださねばならん歳でもあるまい」
勇者「! ……」
魔王「……?」
勇者「そう、だな……」
勇者「親の許可なんて必要ない!
   大事なのは私達の気持ち、そうだよな!」
魔王「当たり前だ」
魔王「……」
魔王「(しかし私の考えとは微妙に違う気がする)」
勇者「じ、じゃあ聞くが!
   お前の気持ちはどうなんだ!」
魔王「お前のことは高く評価しているが」
勇者「ど、どの辺を評価したんだ!?」
魔王「どの辺て・・・」
魔王「たった一人で、我が軍の精鋭たちをすべてなぎ倒してくれたのだ
   その力は私さえ超えている可能性もあるだろう
   世界の半分と言ったとおり、私と同格と認めよう」
勇者「うんうん、そうだ、互いが同格、認め合う、当たり前だよな」
魔王「……」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「………………」
魔王「?」
勇者「……それだけか?」
魔王「それだけ?」
勇者「お、お前、それだけのことで自分に付き合えだなんてよく言えるな!」
魔王「…………」


721 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2015/10/03(土) 20:41:31.43 .net
勇者「私は何もできない女だ……生まれた時から勇者として鍛錬に明け暮れ、
   他のことなど何もできない」
魔王「そうなのかもしれんが、苦手なことは私がいくらか補佐してやるぞ」
勇者「!」
魔王「……?」
勇者「ふ、ふふ……お前はなんて男だ
   いや、私が馬鹿だった
   そうだ、共に生きるとはそういうことなんだ……」
魔王「(なんかよくわからんが、納得したようだ)」
勇者「よし、私はお前とともに歩む!」
魔王「そうか、嬉しいぞ」
勇者「う、嬉しいって、臆面もなくそういうこと言うな!」バシッ!
魔王「(顔真っ赤にして何を言ってるんだこいつは?
    ちょっと涙目だし……)」

一ヶ月後
魔王と並ぶ地位を手に入れた勇者主導の元
盛大な結婚式が魔王城にて開かれた
魔族人間を問わない客人たちの祝福の拍手の中
真っ白なドレスに身を包み、涙で頬を濡らしながらブーケを投げる勇者を横目に
式が終わり子供が生まれるその日まで
魔王の頭の上には疑問符が浮かび続けていたという

おしまい

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