232 名前:おさかなくわえた名無しさん[] 投稿日:03/05/01 02:14 ID:w5PSQ8MF
病院で働いていたとき。
廊下で落し物をしたら、後ろからきていた松葉杖の患者さんが
拾ってくれた。
にこっと笑って渡してくれたので、ありがとうございます、いえどういたし
まして、と簡単にやり取りした。
入院仲間と話すのだろう、喫煙所に向かってゆっくり歩いていくその人の
後姿をなんとなく見ていたら、突然ぐっと涙が込み上げてきた。

自殺未遂に等しい事故で入院してきて、その怪我のひどさに、
医者からこの先一生歩くことはおろか車椅子にも乗れないだろう、と
宣告されていた人だった。
アル中で、欝で、事故のせいでさらにおかしくなり、何ヶ月も一日中、
言葉の通じない獣のように叫び続け、どんな薬も言葉も聞かず、
リハビリも治療も拒否し、家族にも職員にも暴言と暴力を働き続け、
死んでくれれば良かった、と親に泣かれた人だった。
まだ若いのに、この先この人は一生、どこかの施設でベッドに縛り付け
られ、叫びながら生きるのか、と誰もが思っていた。

少しやせたけど、自分の足で歩いていくその人の後姿見ながら
人間ってなんてすごいんだろう、と思った。
退院したあと、その人は家族の会社で働き始めたそうだ。
しばらくして、病院あてに自分の給料で買った、というお菓子の
詰め合わせを送ってくれた。また泣けた。

なんかよく分からなくてすまん。





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