514 名前:おさかなくわえた名無しさん[] 投稿日:02/05/16 18:17 ID:OvAWyEDw
今から10年程前ちょっとした言葉の食い違いから両親と4年間連絡を絶っていた時期があった。
その当時は、あんな親なんかいなくても自分ひとりで生きていくつもりでいた。
しかし、自分も年齢を重ね社会にでていろいろなことを学ぶうちに、いつまでこんなことを
続けるのか?という気持ちが生まれ始めてきた。
しかし、親に大見栄を切った手前、自分から連絡することが出来ずにいた。

そんなある日、父から手紙が届いた。
「もう充分だろう。一度帰って来い」と…。
父は、私の居場所を知っていたのだ。
知っているのに知らないふりをして見守っていてくれたのだ。
そんなことも知らずに、一人いきがっていた私。なんて子供だったのだろう。
家の中では気の強い母の尻に敷かれていた父。
しかし、私と母がどんなに衝突しても私の味方についてくれた。
そのとき、今までのことを素直に謝れる気がした。実家に帰る決心がついた。

懐かしい玄関の前に立ち、チャイムを鳴らすとあの頃よりもちょっと老け込んだ母と、
大きくなった弟が、あの頃のように出迎えてくれた。四年前の空気が変わらずそこにはあった。

そして、何気なく玄関を見渡し、私は動けなくなってしまった。
そこに飾ってあったのは、私が高校生のときに授業で作った七宝焼きの皿だった。
上を見上げると、私の作った壁掛け時計もある。…四年前と変わらずに。

母は、こんな私の作ったものを変わらずに飾っていてくれたのか。
それを見て何を思っていたのか。
私はといえば、実家に関するものはすべてしまい込み、それについて考えないように、
いや、あえて嫌いになろうとし続けてきた。私は何をしていたのか…。

涙をこらえて、こう言うのが精一杯だった。
「ただいま…」
涙で曇って顔は見えなかったが、お帰りと明るく言う母の声は何も変わるところはなかった。

あの頃のことの反省の意味もこめて・・・。





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