880 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2007/01/19(金) 13:29:30 ID:Kf2PwTqV0
873読んで思い出した。

俺が生まれる前、うちでは猫を2匹飼っていたらしい。
名前は「ちゃーちゃん」と「じろっけ」。
幼き日の姉が、当時うちに通っていた野良猫を回らない舌でそう呼び
そのままうちの猫になってしまったらしい。

ちゃーちゃんとじろっけは、姉に恩義を感じていたのか
母に内緒で姉に貢ぎ物をしていた。
母がその事に気付いたのは、ある日姉の口の端に虫の足が付いていたから。
「何故?」と母は思ったが、偶然かと気にしなかったらしい。

しかし別の日、ちゃーちゃんの鳴き声を聞いて母ははっとした。
母猫が、子猫を呼ぶ時の声だったそうだ。
物陰から覗くと、一人で遊んでいた姉がちゃーちゃんの方へ近寄っていく。
ちゃーちゃんの足元には、ピクピクと動くコオロギ。
ちゃーちゃんは前脚で、それを姉の方へ押しやる。
姉は前脚・・・ではなく、手でそれを掴んだ。

未熟児で生まれた姉は、当時体がとても小さく、弱かった。
メスだったちゃーちゃんは、母の事を
「全く、子育ての下手な女ね」とでも思っていたのだろう。
狩りの上手だったじろっけも、恐らく同じ事をしていた筈だと母は言う。
中央に座る姉の両側に、まるで狛犬のように控える二匹の猫の写真を見て
俺もそれはガチだな、と思う。

そのお陰かどうかは知らんが、姉はうんざりするほど元気に育った。





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