168 名前:癒されたい名無しさん[] 投稿日:2009/09/07(月) 15:39:20 ID:MS1fyRG3
295 :ガラクタ屋 :2006/07/19(水) 15:26:12 ID:izKf8Gf0
 4年前に両親に相次いで先立たれた農家の次男の俺、農地や家屋は年の離れた兄が引き継ぎ、
俺はテナントが夜逃げして廃墟になったスタンドを相続した。
整備の専門学校を出て修理工の職を転々としていた俺は、アパートを引き払い、スタンドを根城に
ポンコツを修理してオークション会場やヤフオクに回し細々と生活していた。
東北地方の主要国道沿いなので原付や小型二輪に荷物を満載して北海道を目指す旅人の通過点となっている。



一昨年の丁度今ごろだったと思う。
朝起きて外に出ると荷物を満載したメイトとその脇に蹲っている人影があった。
「おはよう~これから北海道ですか?」
と声をかけると、眠っていたのだろうか、背中をびくっとさせこちらを振り向いた。
振り向いた人影は薄汚れた女だった。何でも2~3k手前でパンクして強引に走っていたらチェーンが外れ、
ここまで押してきたようで、俺のガレージの前まで来てここなら何とかしてくれると思ったらしい。
「あの~あまりお金が無いんですけど、いくらくらいで直りますか?」
彼女は財布を覗き込みながら俺に尋ねた。
メイトを見てみると刷毛で白く塗られてはいるが、どうみても10年前の型だ。
チェーンのカバーを外して見たら赤錆びたチェーンと歯が磨り減ったスプロケが出てきた。
見なかったことにしようか?そんな思いが脳裏をよぎった。

「少なくともチェーンとスプロケを換えなきゃこの先不安だね。タイヤもワイヤーが出てるし・・・」
俺の言葉に彼女は俯いてしまった。
「あと1時間もすれば取引のあるバイク屋が開くから聞いてあげるよ。」
俯いてる彼女に缶コーヒーを手渡し、地べたに座り込んだ。
彼女は緑(マキバオーに似てたから)横浜の21歳、専門学校卒業後リクルートに失敗し、フリーターしてたが、
牧場での仕事に憧れ何も考えずに家を出てきたらしい。
ヤマハメイトはバイトしていた新聞屋の払い下げを貰ったとのこと。
話をしているうちに、彼女の薄汚れた顔と服と臭いが気になったので俺はシャワーを勧めた。



169 名前:癒されたい名無しさん[] 投稿日:2009/09/07(月) 15:40:07 ID:MS1fyRG3
296 :ガラクタ屋 :2006/07/19(水) 15:28:54 ID:izKf8Gf0
彼女は喜んでシャワーを浴び、服を着替えて出てくると地黒だった肌は汚れだったようで、
色白でどことなくマキバオーに似ていた。
バイク屋に問い合わせ、事情を説明すると丁度前が潰れた同じ型のメイトがあるので取りに来ればあげると言ってくれた。
軽トラの助手席に緑を乗せ、物を見に行くとタイヤ、チェーン、スプロケは新品同様だった。

早速ガレージに戻り部品の移植に取り掛かるが、自転車しかした事が無いチューブ付きタイヤの交換に手間取った・・・
緑は深刻な顔をしながら俺の仕事を見つめている。
読み手には笑われるかもしれないが、移植が終わる頃には夏の太陽が傾いていた。
とりあえず試乗!と彼女がエンジンをかけようとしたが汗だくになるまでキックしたが初爆もない。
「いつもこうなんですよね。」彼女は額の汗をぬぐいながらキックを続ける。
「もうやめなよ・・・」そんな言葉が俺の口から出掛かった頃、エンジンがかかった。
バイクには今も現役で乗っているが、2サイクルは専門外なのでよく分からないが、少なくとも調子の良さ気な音ではないことはわかる。
「とりあえずテストしてくるよ。」俺は彼女に声を掛けガレージを後にする。が・・・
3速に入らないので早々に切り上げた。

「どうでした?」緑が不安げに尋ねてきた。
「あの~ギヤって2段までしか入らないの?」
「はい、30キロ過ぎると振動が凄くて・・・」
驚いたことに2速で横浜から500k以上の道程を走ってきたとあっけらかんとした顔で言われ、俺は呆れるより感動してしまった。
「どうする?このまま走る?それとも入院させる?」
「入院って・・・泊まるところもないし、お金ないし・・・」
「事務所のソファーでよければ泊まっていいし、洗車や掃除してくれれば飯と修理代は面倒見るよ。」
緑は一瞬ためらいの表情を見せたが、先を急ぐことを理由に夕暮れを背に再出発した。


170 名前:癒されたい名無しさん[] 投稿日:2009/09/07(月) 15:40:55 ID:MS1fyRG3
297 :ガラクタ屋 :2006/07/19(水) 15:31:46 ID:izKf8Gf0
その後、気になりながらも仕事に切りをつけ、野球中継を見ながらビールの栓を開けた。
「考えてみれば一日あの子に振り回されたな・・・」そんなことを思い出しながらタバコに火をつけた。
すると見慣れない番号からの着信・・・仕事の時間は終わってるのでスルーしたが、留守電になるたびにかけなおしてくる。
いいかげんウザくなり根負けして電話に出ると緑だった。
「すみません、バイクのエンジンがどうしてもかからないんです。」
「いまどこ?」
「・・・の12k手前の道端です。助けてください・・・」
「わかった、30分くらいで行けると思う。」
俺は電話を切り、軽トラに飛び乗り国道を30キロほど北上した。
一本道なので彼女はすぐに見つかり、メイトを荷台に乗せ、来た道を引き返す。
「すみません、素直に好意を受けてれば良かったのに・・・」緑が目に涙をためて呟いた。

「もう今日は寝なよ。」事務所に戻り、毛布を手渡すと緑はすぐに眠りに付いた。
余程疲れていたんだろう。俺も贔屓の巨人が負けたので寝酒を煽って早々に奥の部屋で眠りについた。

翌朝、目が覚めて事務所に顔を出すと緑が事務所を掃除していた。
「おはよう、朝からそんな気を使わなくていいのに。」
「おはようございます。せめてこれくらいはさせてもらわないと・・・」
「それより朝飯はどうする?」
「あは、考えてみれば昨日の夜から何も食べてない。」緑が舌を出しながらはにかんだ。
軽トラをトラックの運転手が利用する飯屋まで走らせ二人で朝食をとる。
朝からガッツリと飯を食い、俺はメイトのエンジンOH&ミッション移植、緑はガレージの掃除、洗車草むしりと雑用をこなした。
一気にやっつければ一日仕事なんだけど、来客や突発的な仕事もあり、そうもいかない。

171 名前:癒されたい名無しさん[] 投稿日:2009/09/07(月) 15:41:43 ID:MS1fyRG3
298 :ガラクタ屋 :2006/07/19(水) 15:32:32 ID:izKf8Gf0
その日の夜は緑が夕食の支度をしてくれた。普通のカレーだったけど外食やコンビニ弁当ばかりの俺には有り難かった。
食後に酒を飲みながら私的な話をしたと思う、酔っていたから覚えていない。
ただ、同じ布団で朝を迎えた。
特に気まずさも無く、午前中にメイトは生まれ変わり、本来の性能を取り戻した愛車に喜びながら、
昼過ぎに彼女は再度北に旅立った。
狐につままれたような3日間だったけど、後味は悪くなかった。
色白で愛嬌のある子だったな・・・なんて思い出しながら三日が過ぎた。

四日目の朝、朝食を食べに行こうと事務所を出ると見慣れた後姿が目に飛び込んできた。
「フェリーに乗ろうと思ったけど忘れられなくて帰ってきちゃった。」
「え・・・ 」呆気に取られてる俺の首に手を回し、
「雑用でもなんでもするからしばらくここに置いて貰えませんか?」
と満面の笑みで問い掛けてきた。

暫くのつもりだったはずが緑は昨日まで新たに借りたアパートに一緒に住んでいた。
今は産婦人科に入院していて明日、俺の子供を出産予定だ。
今日は仕事も手につかないのでガラクタの山を見つめながら一人で飲んでます。


ガラクタをちゃぶ台にのせて


なごむこぴぺを貼るスレ④

  1. クラスの可愛い子のスク水の臭い嗅いだ結果。。。
  2. 庭に水撒きをしてたらTシャツ&ショーパンの若い娘が通りかかったので・・・
  3. 看護士の女性陣と合コンやった結果を報告するッ!!
  4. 東北(新潟、青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島)に行って驚いたこと
  5. よく行く映画館のフードコートにいるいかにも ホームレスみたいな人にはお金あげてる