808 名前:大人になった名無しさん[] 投稿日:2007/08/16(木) 00:23:42
祖母の家の庭には、小さな桜の木がありました。観賞用ではなく、身を食べるための小さな木です。
祖母は、さくらんぼが好きだと言った私のためにその木を植えてくれたようで、遊びに行く度、『●●ちゃんの好きなさくらんぼ、来年はなるといいねぇ。なったらおばあちゃんと●●ちゃんとで食べようね』と言っていました。
ところが、さくらんぼは何年経ってもならないのです。
最初は楽しみにしていた私も、次第にどうでもよくなってしまっていました。

その祖母が、今年亡くなりました。ちょうど桜の花の散った頃です。
私が駆けつけたとき、祖母の横には小さな箱が置いてありました。なんだろうと思って開けると、中身はさくらんぼ。まだ青っぽい実と、小さなメモが入っていました。
『●●ちゃんの好きなさくらんぼがやっとなりました。うれしいね』と書いたメモが。

それを見て、泣きました。
青っぽいさくらんぼは、ひとつは祖母の棺桶に入れ、残りは私が食べました。
すっぱかったけど、いままででいちばんおいしいさくらんぼだったように思います。




セピアな思い出∫泣ける話




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