579 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2007/09/28(金) 21:04:49 ID:qv8seNfY
殴り書きなので、読み取りにくい部分があったらすいません。

小学校1、2年の頃、クラスに少し成長の遅い桜井(仮名)って奴がいた。
障害ってわけじゃなくて、ほんとにちょっと成長が遅いだけだったんだと思う。
ほかのクラスメートと比べても身体は小さいし話し方も舌足らずで
文字も絵も3歳児の落書きみたいで、いじめとはいかないまでも
周囲からは下に見られていたように思う。



ちょっと小突いたりからかうと泣きそうな声で
「うえぇうえぇ、やめてよぉー」って反応するのが当時は面白くて
俺も桜井のことをしょっちゅうからかって遊んでた。
でも俺も周りもいじめてるつもりはなかったし
あいつもいじめられているとは思ってなかったと思う。
普通に家に招いてくれたりしたので、遊びに行って一緒にゲームしたり、
外に出て自転車で遊んだりもした。
でも、基本的には俺もあいつを下に見ていた。
俺が幼稚園くらいの女の子に自転車をぶつけてしまって
泣かせてしまったときも、桜井に責任を押し付けて
「ほら、謝れよ」なんて理不尽なことを言ったりもした。
そんな時にも桜井は文句一つ言わず、その女の子に
「ごめんね、ごめんね」と繰り返していた。

580 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2007/09/28(金) 21:05:31 ID:qv8seNfY
あいつの家に遊びに行ったとき、
母親が、「いつもありがとう、これからもよろしくね」
って話しかけてきたのが印象に残っている。
親から見ても、やっぱり心配な部分があったのだろう。
俺は何と答えたかは覚えていないが、
その後も同じようなペースで付き合い続けていたと思う。

正確な時期は覚えていないが、小学校3年生の頃、
桜井は隣町の小学校に転校していった。
気がついたらいなくなってたという感じだ。
別にいなくなったからといって、何が変わるというわけもなく、
友人との間では、たまに「桜井はちゃんと生きてんのか」みたいな
軽く馬鹿にしたような感じで話題に上る程度。
向こうでの噂など聞こえてくるはずもなく、年月が過ぎていった。

俺が高校を出た頃から、いじめの深刻化が問題視されるようになってきて
俺は桜井のことをよく思い出すようになった。
先述した、桜井をからかったときのあいつの反応が
痛ましく見えて、すごく心が痛んだ。
もしどこかで会えたなら、俺はあいつになんて言おうか
なんてことも考えたりした。
まぁそれは日常生活におけるどうでもいい妄想の一つって感じで
実際、そんな昔の顔見知り程度じゃ会っても絶対に分からないし。


581 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2007/09/28(金) 21:07:28 ID:qv8seNfY
んで先日の話。
俺は社会人3年目、25になったばかりだった。
会社帰り、下りの電車を降りて改札を出る波の中で、俺はそいつを見つけた。
とっさだった。普段の非社交的な俺だったら有り得ないんだけど
人違いだったら謝ればいいと思って、後ろから「桜井」と話しかけた。
俺より少し背の低い、スーツ姿のそいつは振り向いて怪訝そうな顔をしたので、
もう一度「桜井?」と名前を呼ぶと、
その青年は、はっきりとした口調で
「やぁ、久しぶりだね」
と言って笑った。

俺はずっと考えていたはずの言葉が出てこなくて、
顔を隠すようにうつむいて泣いた。


漱石先生お久しぶりです


□ いい人・やさしい人のお話 13 □