661 名前:大人になった名無しさん[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 17:18:35
俺は阪神大震災で彼女を奪われた。
付き合い始めた頃の俺は社会人で、彼女は高校を卒業し、
神戸の大学に進学が決まり地元を離れることになった。
付き合っても直ぐに遠距離恋愛になってしまったが、
彼女が長期休校の時はいつも地元に戻ってきてくれたので
普段会えない分を補うくらい、いつも会うようにしていた。
そんな付き合いも2年程続いたが、ある日突然彼女から別れを告げられた。



地震が起こる1ヶ月前のことだった。理由は、遠距離であるために、寂しかったことが原因だった。
色々話し合い二人とも納得して別れたが、それからも、お互い電話をかけたりして続いていた。
地震が起こる1週間前に彼女から復縁したいと電話があり、俺もやり直すことにした。
すると彼女が連休に俺に会いにくると言い出したので、
「もう直ぐ大学が冬休みに入るからわざわざ帰らなくても」と言うと、
「もう会えなくなってしまうかも」と言ったので、俺も連休は暇だし、一緒に過ごすことにした。
2日間一緒に過ごし、大学の試験が近いので友達と勉強する約束をしてた彼女は、
別れ際「帰りたくない」と言っていた。俺は「約束は守らないと」と言って
彼女を最終の新幹線で神戸に送り出したのが最後の姿だった。あの時、引き止めておけば。
翌朝、地震の振動で目が覚めた。しばらくするとテレビで地震のことをやっていた。
彼女のところへ電話をしても繋がらない。だんだん不安になり、方々に連絡を取ってみたが
彼女の安否が分からない。彼女の実家にも連絡が無い。神戸に行きたくても入れない。
生きていることを祈りながら、連絡を待った。が、だめっだった。
彼女の下宿先は全壊し、下敷きになって発見された。うつ伏せで寝ていたのだろう、
天井の大梁が後頭部へ直撃だった。即死だそうだ。
俺が地震で目が覚めたときには、彼女は天国に行ってしまったことになる。
彼女の亡骸が地元に帰ってきたので会いに行った。眠っているようだった。
幸い、火災にもあわず、とてもきれいだった。
彼女の母親から遺留品の中に俺宛の手紙があったので受け取った。
俺が見送ったあの日、下宿に戻った彼女が最後に書いた手紙。
再会を喜び、これからの2人のこと前向きに綴った手紙。
やりきれない思いが俺の中を駆け巡った。
彼女に出会わなければ、こんなにつらい思いはしなかったかも知れない。
彼女に会えたおかげで、これからもがんばれると今は思っている。




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